HSコード2022改正について

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日本関税協会主催のHS品目表2022年改正(HS2022)の概要講座を受講しました。ご存じの方も多いかと思いますが、2022年にHSコードが5年に一度の大改正が行われます。こちらの講座では改正個所についてとても分かりやすく説明されていたので、この記事ではこれまでの通関士試験と照らし合わせて重要になりそうな内容のみをピックアップしてまとめました。関税協会からの配布資料を基に説明しますが、こちら配布・転載は禁止されていますので、あくまで私個人の感想を書きます。内容に責任は持てませんので改正内容の詳細は勉強しながらご自身でしっかり確認してくださいね。

・ヨーグルト(04.03項)の範囲拡大

本試験ではありませんが、以前LECさんの一問一答ツイートで「ココア入りのヨーグルトは4類である。〇か×か」という問題が出され、TL上でココア入りのヨーグルトなんてまずそうだと盛り上がりました。答えは関税率表解説のとおり〇です。これに対してヨーグルトにシリアルやコーヒーエキスなどが入っているものは19.01項となっていましたが、これが改正でまるっとヨーグルト(04.03項)になりました。

・食用昆虫

以前から話題になっていましたね。こちら2類の食肉ではなく4類の食用の動物性生産品だそうです。そして調製品は16類です。16.01のソーセージの項にも(肉、くず肉、血又は昆虫類から製造したものに限る)と肉類と同じ並びにしっかり「昆虫類」と入っています。昆虫ソーセージ…

・「一時的な保存に適する処理」の明確化

「一時的な保存に適する処理」の表現に「そのままの状態では食用に適しないもの」が含まれるのか見解が分かれていたようです。こちらをこれまで項ごとに規定されていたものを全て廃止し、7類の類注5、8類の類注4が新設され、「使用に先立って専ら輸送又は貯蔵の間一時的な保存をした野菜(果実)、例えば亜硫酸ガス~中略~により保存に適する処理をしたものでそのままの状態では食用に適しないものみを含む」と明確化されました。

・ブロッコリー

これまでカリフラワーは独立した号(0704.10)があるのに対し、ブロッコリーはその他のもの(0704.90)でしたが、カリフラワーの号に引っ越して「カリフラワー及びブロッコリー」となりました。どうせなら分ければいいのに。

・オリーブ油

HSコードは欧米よりに作られているのでよく出ますよね。オリーブ油にパスタにニンニクにトマト…。今回改正で新たにエクストラバージンオリーブ油の号が作られ細分化されました。エクストラバージンとバージンで何が違うのか私にはよくわかりませんが、オリーブ油本当によく出ます。(大事なことなので2回言いました)過去に申告書でも出ていますし、原産地規則なんかでもよく出るので覚えておいたほうがいいかも。

・ココアを含有する調製品

またココアの話ですが、今度はココアを含有する調製品のお話です。講座では例として「ココアを含有するチリシチュー(牛肉70%)」や「ココアを含有するパスタ」が出されました。世界には未知の料理がたくさんある…。前者では16類と18類の優先関係の基準がないこと、後者では18類注で19.02項を除外していないことから、いずれにも分類できてしまう状況だったのです。改正で18類注1(a),(b)が改定され明確化されました。(16類の20%ルールを適用、19.02項の除外)

・繊維

ご存じの方も多いですが、試験委員は繊維が大好きです。ややこしい注を使って申告書、繊維~織物の工程を使って原産地基準などいろんな形で繊維を出してきます。一つ目は、電子部品がついた衣類が11部注15の新設により11部に属することが明確化されました。二つ目は、プラスチックを積層した紡織用繊維について、これまで「肉眼で判別できるもの」に限られていましたが、技術の進歩により肉眼で判別困難となっているため、「肉眼で判別できるかできないかを問わない」に変更されました。三つ目は、61類、62類の類注が改定され、シャツ・シャツブラウス・ブラウスの定義が明確化されました。複数の衣類を分類するような申告書問題ではこの新しい注をよく読まないと間違えた分類をしてしまいますね。最後に四つ目、仮設の日よけテントが63.06項に分類されることが明確化されました。最近公園とかで見かける小さいテントですね。

・3Dプリンター、スマートフォン、ドローンの項新設

時代の流れですね~。個人的にはタブレットが新設されなかったのが意外でした。(コンピューターのままかと)

・フロントガラスの類変更

これまで実務の第6問あたりで出されていた問題で「車のフロントガラスが70類のガラス製品か87類の車の部分品か」というのがよくありました。これまで正解は70類でしたが、今回の改正で87類に変更となりました。また、加熱機能を有する窓(くもり取りがついているリアガラスなど)の分類も併せて87類に明確化されました。70類注1、87類号注1がそれぞれ改定されました。今後ひっかけ問題で出されそうですね。

以上です。物量的には半分くらいは端折りました。化学品やLED、木材などの改正も多くありましたが内容が細かいうえに難しく、かなり専門的な部分が多かったので、通関士試験では出されにくいのではないかなと思いました。改正講座は後日アーカイブが公開されるようなので、長いですが一見の価値はあると思います。皆さんの参考になれば幸いです。

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