後編では初期・中期・後期に分けて勉強法を書きました。勉強期間は約1年間なので初期(11~2月)、中期(3~6月)、後期(7~10月)くらいのイメージでお願いします。
・初期
まずはテキストを1周精読します。この時まとめノートを作ったり、マーカーを引かないことをおすすめします。
特に始めはまとめノートを作りたくなりますがおすすめしません。私も最後まで作りませんでした。
なぜかというと、テキストを超えるまとめはないからです。
必要だからこそテキストに書かれているのであって、素人が端折ってまとめていいものはないのです。テキストの余白部分に過去問で出題されたポイントやテキストに記載のない記述の追記はたくさんしましたが、これは中期でいいと思います。
まず最初は理解できていなくてもいいので端から端までとにかく読み進めます。
先ほどマーカーを引かないと言いましたが、マーカーも中期でいいと思います。
私は最初に読んだ時点でポイントになりそうなところをマーカーしたのですが、後で見返すとちょっとズレてるんですよね。重要でないというよりは「過去問で問われているのはそこではない」という感じです。
過去問をやりこむと試験委員が聞いてくるポイントが何となくわかってきます。
中期にその部分をマーカーをすると本当に大事なポイントが分かります。
そうしないと私のようにマーカーだらけで結局何が大事なのかよくわからないテキストが出来上がります(笑)
次にゼロ申で申告書の解き方を勉強しました。申告書は通関実務の要の問題で、初見では解き方が全く分からない分野のため早い段階で演習をして覚えます。
テキスト精読、申告書の解き方が分かったら(内容の理解は置いといて)早速過去問をやります。
過去問は初期からガンガン解いたほうがいいです。
そして過去問に挑戦したときは「解いた日付」「所要時間」「点数」をメモします。
どれを何回やったかわかりますし、あとで見返すと点数が上がっていく様子がモチベーションにつながります。
ある程度勉強が進んでから過去問をやりたいという方も多いかと思いますが、初期から手を付けて壁にぶち当たったほうがいいです。
壁に当たらないと弱点もその先の対策もわからないですよね。
初期のころは全然点数が取れなくてもトライ&エラーで問題の傾向をつかむことが大切です。
過去問題集も2月の発売からすぐに手をつけました。1周目は体感で8割間違えました。
こんなんもんだと割り切って諦めず何度も周回しましょう。解説を読んで間違えたポイントにシャーペンで簡単に印をつけていました。
ここで一点、私のおすすめです。
いつのでもいいので過去問を一つ後期まで取っておくといいです。
私は業法4年(2017年に大幅改正があったため)、関税法5年、実務15年分の過去問をそれぞれ2~6周やりましたが、後期になって新しい問題を解く機会がなかったため、今できているのが理解しているからなのか問題を覚えてしまっているからなのか自信がなくなってしまいました。
模試を受けるという手もありますが、その年によって難易度がまちまちで本試験レベルに沿っているかは受けてみるまで分かりません。後期に新規の過去問を解くことができたらその時点の正確な理解度が測ることができただろうなと思いました。
・中期
過去問演習したあと間違えたところのテキスト該当箇所を確認(私はマーカーをして〇回税法などメモ書きをし、間違えた数を正の字で記入しました)
過去問題集、ドリルを周回してとにかくやりこみます。
中期にはある程度いろいろなことが分かってきて、過去問や問題集、ドリルを周回して力がついてくる頃ですが、同時に手持無沙汰感に苛まれることがありました。
「何をやったらいいんだろう」「問題を覚えつつある」と…。
こういうときに新しい問題集やドリルを取り入れると刺激になりますし、更に伸びると思います。
私はこのころに計算問題ドリルと関税評価ドリルを購入しました。
・後期
後期には正答率が上がって自信もついてきます。が、ここで注意です。
私は勉強時間の多くを通関実務の対策に割いていました。感覚では通関実務と業法・関税法では7:3くらいの差をつけていました。
ある時、既に数回解いている業法と関税法の過去問で点数をかなり落としたのです。
見直したら忘れているところや混同しているところがたくさん出てきました。
業法と関税法は覚えていることが何よりも大切です。
コンスタントにやらないとどんどん抜けてしまうと気づいた私はその日からだいたい3~4日のスパンで全科目を少しずつでも手を付けるよう意識して勉強しました。
例えば、1日目:申告書1セット、計算問題ドリル 2日目:実務選択問題、貨物分類、業法 3日目:関税法 4日目:過去問演習 といった感じで、完璧にできなくても何かしら各科目の問題を解くようにしました。
また、後期は本番同様に時間配分も意識しながら過去問を解くようにしました。
それと8月頃には各社で模試が開催されますね。多くの方に言われていますが、模試は本試験より難しく作られていることが多いです。模試実務で12点しか取れなかったけど合格したという方もいるレベルです。
結果に囚われたり他人と比較するのではなく、あくまで新規の問題を解く機会、自分の弱点を精査する機会くらいに思っておいたほうがいいです。
「模試を受けるときにどれくらいまで仕上げておいた方が良いか?」という質問をよくいただくんですが、私的には本試験を受けてもいいと思えるレベルまで仕上げて受験したほうがいいと思います。
本試験を想定した試験が模試なので、本試験を想定した実力でぶつかったほうが得られるものが大きいはずです。
私はLECと関税協会の模試を解きましたがLECはかなり難しく、業法35点(77%)、関税法37点(61%)、実務21点(46%)でした。
模試の結果は気にするなと言っておきながらかなりへこみました(笑)
そのあと受けた関税協会は前年度まではかなり難しかったのに対して今年度は本試験レベルで、業法38点(84%)、関税法50点(83%)、実務39点(86%)で自信を取り戻すことができました。
蓋を開けたら実際の55回本試験の業法関税法はLEC模試と大して変わらない難易度という結果でしたが…。
実際蓋を開けてみるまでわからない、サプライズが多いのが通関士試験です。
いろんなケースに対応できるよう、びっくりしないよう模試を受けるというのは戦略の一つかなと思います。
各社が本試験レベルにどこまで合わせてこられるかはわかりませんが、そもそも後期は新しい問題を解く機会自体が貴重です。
模試を終えて見直しや復習をするうちに本試験まで残すはあと1ヶ月!というくらいになると思います。
直前期はまず体調管理第一です。
9月10月は季節の変わり目で風邪をひきやすいですし、特に子供がいると自分が気を付けてても子供からもらってしまいますよね。
私も子供からもらった鼻風邪が本試験数日前まで治りませんでした。
ちょっとでも変な感じがしたら早めに休む、睡眠時間を十分にとる、ということ意識します。
勉強は、直前期だったので本試験レベルの感覚を失いたくなかったため、過去問題集と貨物分類、テキスト読みをメインにしました。
ドリル系はあまりやらず、模試の再トライも一度確認程度にしただけです。
そして夜は22時にベッドに入るようにしました。
ここまで来たらあとは新しく学ぶのではなく忘れないようにメンテするくらいの気持ちでした。
1週間を切ったころには、「この問題を解くのはきっと最後だ…」としみじみしながらやりました。(受かったわけでもないのに)
そして前々日は夜に模試を通しで解いて夜更かし、前日は過去問題集の間違いが多い問題に付箋を貼っていたので、そこを見直す程度にとどめました。
そして早く寝て(直ぐ寝付けるよう前々日は夜更かししました)、朝起きたら温かい飲み物を飲んで、朝ご飯をしっかり食べて出陣です。
当日はいろいろ持っていきたくなりますが、実際は制限が多かったため最低限度でいいと思います。
会場にもよると思いますが東大はまず席が狭くて隣の人との距離が近く、テキストなどを頻繁に出し入れしたり広げるのが憚られる状況でした。
また、予備の電卓についても試験官より「電卓は一つのみ机に出してください」と明確な指示がありました。(他の方に聞いたところ何も言われなかった所もあったようで、試験官によっても指示が異なるようです)
自分の中で絶対持っていきたいテキスト、電卓や時計などの必需品、片手で食べられるお昼ごはん、テンションの上がるおやつくらいで済ませていいと思います。
ちなみにみんなが心配しているトイレですが、東大はトイレが戦争状態という噂で心配してましたがかなり分散してくださったようで終日トイレで並ぶということはありませんでした。噂を聞いて配慮してくれたのかもしれませんね。今年も同程度の受験者数であれば心配なさそうですが、こまめに行くようにしましょうね。
以上です。みなさまの合格をお祈りします。