2021年第55回通関士試験に向けて独学で勉強し、一発合格しました。
かなり長いので前後編に分けます。前編では使用テキスト、55回試験の難易度や所感を書きました。
後編では具体的な勉強法を書きますね。
まず通関士試験は、通関業法、関税法等、通関実務の3科目あり、全て60%以上の点数を取る必要があります。
(試験の概要は税関HPで確認してください。)
各科目の難易度は、令和2年に実施された54回本試験までの傾向としては業法<関税法<<<通関実務で、通関実務が最重要、相当な勉強が必要であり、私含めほとんどの受験生は通関実務に最も多くの勉強時間を割いたと思います。
それがなんと55回本試験では、業法、関税法がかなり難しく、通関実務は易しめでした。(個人の感想です)
56回本試験では受験生の話を聞くと業法が平年並みに易化、関税かなり難化、通関実務派少し難化という所感のようでした。(私は怖くて解いてない)
とある人に聞いた話ですが、近頃業法や関税法関連で違反、抵触するような事案がちらちらあるようで業界をざわつかせているようです。
そのため入り口の通関士試験からもっと難しくしようという意図があるのかもしれませんね。
前置きが長くなりましたが、私は約1年かけて800時間勉強しました。(2020年9月頃スタート、2021年10月受験)
通関士試験に必要な勉強量はだいたい400時間必要という意見が多いようですが、個人的には足らないと思います。
特に私のような子育て中の方は早い段階で勉強を始めたほうがいいです。
なぜかというと、通関士試験、特に通関実務においてはある程度まとまった演習時間が必要です。
申告書問題や計算問題は育児の隙間時間ではできないからです。
机に座って長い間分類、加算、非加算などを考えて電卓をたたく時間を確保する必要があります。
私の800時間で最も多い割合を占めているのは、隙間時間のテキスト読みです。(家事の合間や子供がテレビを見てるとき、移動中など)
勉強時間のほとんどを演習に割ければここまで勉強時間を取らなくても大丈夫だと思います。
私は隙間時間にテキスト読み、子供の昼寝中や就寝後は演習という形をとっていました。
それに子供は思ったように動いてくれませんよね。
長い受験勉強期間中に勉強できない時期が必ずあります。(夜泣きとか風邪とか…)私も数えきれないくらいありました。
それでも動じないよう早い段階から勉強を始めました。
次に、使用した教材を5段階の評価と55回本試験の所感も交えつつ説明します。
・通関士 合格の基礎知識 おすすめ度★★★★☆
業界未経験で通関士試験を受験される方にはかなりおすすめです。法律に係る文章は無機質で用語も難解なのでそのまま読んでもイメージがわかないということが多々ありますが、こちらのテキストでは図解が多く使用されており、この法令がどうして施行されたかなど背景もわかりやすく説明されています。試験対策には全く足りませんが、後ほどテキストを読んだ時の理解度が格段に上がると思います。2020年版ですが毎年改定されないのでこちらが最新版となっています。
・合格ハンドブック おすすめ度★★★★★
メインのテキストは前述の基礎知識と同じ片山先生の著書である合格ハンドブックを選びました。非常にわかりやすい上に無駄がなく、最も重宝したテキストです。説明もシンプルでくどくないので読みやすく、そのためもう少し詳しく書いてほしいと思うところもごくたまにありましたが、とてもいいテキストです。分厚いため章ごとに裁断して使用していました。章末に2020年度のMHJ模試がついていました。同じ構成なら2023年度版には2022年度の模試がついているのではないでしょうか。(実物を見ていないので確約はできません)MHJ模試は印刷が薄かったりホチキス止めされていなかったりいろいろと難があったようですが問題はいい問題だったようですよ。
・ゼロからの申告書 おすすめ度★★★☆☆
受験生が最も苦戦する申告書問題に特化したテキストです。どうやって解けばいいか、何をどうしたらいいのか本当にゼロからしっかり説明されています。しかし、やり方を覚えるにはいいのですが問題の解説が少し不親切なのと、後半になるほどここまでやる必要があるのか?と思うほど難しくなります。そんな疑問がわいたので2周して売ってしまいました。しかし、57回本試験で申告書が急激に難しくなる可能性もなくはないですし、分類の知識は増えるのでやる価値はあると思います。5月の発売まで私は待てずに2020年度版を購入して初期のころからやりました。後編にも書きましたが、申告書は初期のうちからしっかり取り組んだ方がいいです。収録されている問題︎︎︎︎も毎年大幅な変更はないようです。
※5/23時点 amazonで検索すると公式より高い金額のものがトップに出てきます。こちらのリンクは公式のものですのでご利用ください。
・計算問題ドリル★★★★★
通関実務第8問~第12問の計算問題、関税評価(課税価格の計算)問題に特化したドリルです。通関実務第8問~第12問は全て配点が2点なので、本試験で申告書でミスをしてしまったとしてもここでカバーできたりするので非常に重要です。その割に過去問くらいでしか対策ができず、問題数をあまりこなせない部分なのでかなり助かりました。計算問題と関税評価(課税価格の計算)問題それぞれ分かれており、レベル1~5の5段階の難易度で挑戦できます。本試験を想定したものはレベル4と5になっていますが、個人的にはレベル3と4が一番近いかなと感じました。5周くらい、本試験3日前までやりこみました。こちらも先ほどのゼロ申と5月ころに最新版が発売されます。2020年版と比べると2021年版では問題がだいぶ違いました。2023年版もブラッシュアップされるかもしれませんね。量をこなして損する内容ではないのでとてもおすすめです。
・関税評価ドリル★★☆☆☆
通関実務の申告書の加算・非加算、第10~12問に特化したドリルです。様々な費用例が出され、それが加算になるのか非加算になるのか考えるもので、暗記になりがちな加算・非加算部分がどうして加算または非加算になるのか理由がよくわかります。よくわかるのですが、出題形式が本試験問題から逸れており(過去問をやればわかりますが、ただ加算なのか非加算なのかを問う問題はあまりない)、解説も計算問題ドリルの関税評価部分でカバーできると思い1周して売ってしまいました。私はみこ会に入っていたため、みこ会の課税価格テキストで十分足ります。みこ会に入っておらず、関税評価が苦手でしっかり理解したい方にはお勧めなテキストです。
・みこ会テキスト(課税価格決定の原則編・例外編)★★★★★
私はみこ会(リンクページにて説明してます)会員でしたが、このテキストを入手できただけでもみこ会に入った価値がありました。課税価格における加算・非加算費用は、ある程度どのテキストでも解説はされているものの、その理由や背景は非常にわかりづらく暗記に頼らざるを得ないことが多いです。それでもいいんですが、暗記だと結局原理が分かっていないのでちょっとひねった問題を出されると簡単に引っかかってしまいます。輸入申告書でこの加算・非加算費用を間違えると申告価格で大爆死という悲劇になります。このテキストと関税評価ドリルの決定的な違いは、説明のわかりやすさと過去問をベースに解説していることです。関税評価ドリルはただ事象に対して加算か、非加算かの問題とそれについての解説がついていますが、みこ会テキストは実際の過去問の事例がなぜ加算・非加算になるのかを一つずつ丁寧に説明されているため非常にわかりやすいです。いろいろな問題集をこなしてわかりましたが、過去問を超える問題はありません。ドリルやゼロ申も良いテキストではありますが、やはり作成者が違うので過去問とは少し毛色が違うところが多々あります。過去問の事例が分かると応用が利きます。応用が利く、ということはひねった問題にも対応できるということです。
56回試験向けからは一問一答アプリや過去問全解説、オンラインの自習室と機能がめちゃくちゃパワーアップしてます!通関士試験受験に必ず取り入れたほうがいいツールです。

・ヒューマンアカデミー過去問題集 ★★★★★
メイン問題集はこちらを使用しました。ボリュームが十分で、過去問がベースですが法改正にきちんと対応して改題してあります。私はこの問題集を6周し、試験前日までやりました。こちらも分厚いので裁断して使用していました。解説は参考条文まで載っておりとても分かりやすいです。何年も前の過去問をやると法改正ポイントがわからず間違った覚え方をしてしまう恐れが多少なりともありますが、こちらはその心配もなくたくさんの問題を解くことができます。科目ごとに(例えば輸入通関、保税地域、運送とか)分かれて問題が組まれているので後期は苦手な科目に絞ったり、3回以上間違えたところに付箋を貼って演習しました。2023年度版は2/15の発売のようです。
・LEC貨物分類 ★★★★★
使用した教材で最も高価でした。とても評判が良く、ずっと気になっていたのですがちょっと高くて手が出せずにいました。しかし、通関実務の申告書や選択問題で分類の根拠が分からず、ハンドブックではその辺の説明がなく頻出のものが羅列されていて暗記するしかなかったので苦戦することが多かったのです。そのためギリギリでしたが8月に講座を取りました。評判通り解説は非常にわかりやすく、謎だった分類の根拠や統計品目表の見方がよくわかり楽しくなりました。音声もあるので寝かしつけしながら聞いたりしました。演習問題も多くついていて、こちらも試験前日までやりました。なんといっても、じっじの声に癒されます(笑)
使用教材は以上です。