通関士は独立できるのか?

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先日、Trade Connectイベントとして「通関士は独立できるのか?」というテーマでウェビナーを行いました。アーカイブは残さなかったため、イベントで使用したスライドを使いこちらで記事として掲載することにしました。(遅くなってごめんなさい)

まず、ある日私のTwitterにてあるアンケートを行いました。その結果がこちらです。

私のフォロワーの約70%が何かしらの貿易業務に従事しており、その中の40%が通関の仕事をしていました。しかし貿易業界の中でも通関業は特に保守的で、法改正が進んで在宅勤務が認められていて且つ多くの人が通関に従事しているのにも関わらずリモートワークやフレキシブルな働き方がイマイチ浸透していない状況です。私はTrade Connectという貿易業務専門クラウドソーシングを運営しているので、このプラットフォームを利用して個人の通関士が住環境や時間に縛られず仕事をできたらいいなという想いもあります。

このウェビナーの目的は、通関士資格保有者がフリーランスとしてもっと自由に仕事をする道はないかを模索し、その結果をシェアしたかったのでした。

この記事では、ググってもよくわからない通関士資格保有者の独立可能性や現時点の法令上のハードルを挙げております。抜け道や裏技を教えるものではないので予めご了承ください。

まず、大前提として通関業法31条の通関士の確認という最も大きなハードルがあります。

現状は、通関士という名称を用いて通関業務に従事させるときは、所属している通関業者から財務大臣へ必要事項を届け出て通関士の確認を受けなければなりません。

つまり、単に通関士資格を保有している者がいきなり通関の仕事を受託するのは法律違反となります。

Trade Connectを通して受託したとしても、トレコネはあくまでプラットフォームで通関業者ではないため違法。既存の通関業者から依頼があったとしても通関士資格保有者と雇用関係がなく確認も取れないため違法となります。

結論として、現在の法律に沿って個人の通関士資格保有者がフリーランスとして仕事をするには開業するしかありません。

ちなみに、開業している(通関業の許可を得ている)個人の通関士がトレコネを通して仕事を受託できるか東京税関に聞いてみたところ、問題ありませんでした!

法22条に規定されている書類保管、帳簿の作成・保管、税関検査対応、法令遵守など通関業者として必要とされている要件をちゃんとやっていればOKのようです。(当たり前ですが…)

なんでこんなことを聞いたかというと、開業した後で最も大変なのは営業ですよね。ですが個人で開業して仕事はもちろん経理などの事務作業にさらに営業なんてパフォーマンスががっくり落ちますよね。Trade Connectは貿易業務を外注・受託するプラットフォームなので、Trade Connectがそういう場所として浸透すれば自ずとTrade Connectを通して外注先を探すのが一般的になるので営業の必要がなくなるんです。そうなってほしいという願いも込めて聞きました。

先述した税関検査の対応ですが、せっかく地方に住んでても仕事ができるよう個人で開業したのに検査でしょっちゅう検査場まで呼び出されたら困りますよね。

そんな人のために立ち合い代行や検査費用の建て替えまでしてくれるサービスがあるようです。外注できるものはどんどん外注して自分の事業に集中して仕事ができるといいですよね。

そして一番肝心なそもそも個人で通関業の許可を取得して開業するにはどうしたらいいかというところです。要件は法人でも個人でも変わらず法5条の許可基準と通関士の設置に関する13条を満たしていて且つ欠格事由に該当していない必要があります。

この許可基準についてもっと掘り下げました。

まず、一番ハードルの高い「通関業の経営の基礎が確実」についてです。

これから開業しようとしているのに経営の基礎なんかないと思いますよね?残念ながら通関業法は、いきなり会社を立ち上げて通関業の許可を取得することを想定した立て付けになっていません。

どういうことかというと、フォワーダー業や倉庫業、メーカーなどが既に営んでいる事業(経営基盤ができているもの)のプラスアルファで通関業を取得することを想定しています。後述しますが通関業の承継なんかはまさにそういった制度ですよね。

では、例えばVCやクラウドファンディングなどで資金を集めて新たに法人を設立すればいいじゃないか!と思うかもしれませんが、そこで引っかかるのが「人的構成に照らし」の部分です。

このように十分な通関の知識と経験を有した人員配置や組織体制が確立されていないと弾かれてしまいます。資金だけでなく高度な人材が必要となると個人で開業なんで不可能に感じますよね。それが現時点で個人の通関業者がほとんど存在していない理由です。

じゃあもうダメじゃん…という感じですが、個人の通関業者がめちゃくちゃ少なくても存在しているのは確かなので不可能ではないんですよね。ここからはかなり厳しいけどどうしたらいいか?というところを掘り下げます。具体的にはこんな仕事をして経営の基礎を作ろう!というところです。

・自分で輸出入したものを自分で通関する(通関業不要)

・他法令や輸送ルート提案などのコンサル事業

・輸入代行やフォワーダー

・ある貨物に特化する(ニッチを攻める)

・行政書士や海事代理士などダブルライセンスなど

通関業だけを狙い撃ちして許可を取るのはそれ自体が難しいですし、取れたとしても開業してやっていくには稼ぎがイマイチという現実もあります。なので付随する業務からまず始めて最終的に通関業を取得できたらいいですよね。

それと、先述した通関業者の承継という手段もあります。

許可の要件が緩くなるというものではありませんが、既存の通関業者で修行してのれん分けしてもらえたらいいですよね…。

ちなみに個人で通関業の許可を申請するときに必要な書類は下記のとおりです。実際に個人事業主の通関業者として活躍されている関根さんという方のブログより、プラスアルファで必要なものも見つけたので抜粋させていただきました。

実情はかなり厳しいものでした…。ですが、不可能ではありません。まずは通関業者に就職して経験を積むか、他の仕事で経営基盤を作れば道はありそうですね。

私はどうするかというと、イベントで宣言しましたが行政書士を取得しようと考えています!!

私はTrade Connectを運営しているので、自分で通関業を営むより行政書士として個人で開業したい人や会社を設立したい人のサポートをして業界全体の個の力を高めるほうが自分のやりたいことに近いという結論に至りました。

以上です。みんなで貿易業界を盛り上げましょう!

Trade Connectを今後ともよろしくお願いいたします。

Trade Connect
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